Florian's most newest Diary

ふろりあんの再最新日記

大砲とスタンプ(1)/速水螺旋人

順調に増刷されているそうでなにより。でも、身近なところでは相変わらず見かけないんだよなぁ。機会損失だよ。もったいない。

 

メカデザイン、世界観デザインで持っている漫画なので当然なのですが、メカの端々に必然性が見て取れて面白いです。

例えば共和国側のジェット航空機、1話の爆撃機も、4話の大型爆撃機もジェット噴射を2軸のベクタードスラストで航空機のヨーとピッチを受け持っているのがよく見ると分かります(うまく使えばロールもできるけど、そこまでは記述がないし、やるとしたらエンジン間が十分に離れてない)。

で、このベクタードスラストがあると何ができるかというと、重心から離れたところに操縦翼面を持つ必要がないんですね。

例えば1話の爆撃機はエンジンの後方に小さい垂直安定板がついているだけで、ここで積極的に操縦しようとしているわけではなさそうです。ジェット機なのに牽引型の航空機というのも珍しいです。4話の「カラームスタファ・パシャ」も偉く巨大な垂直安定板がついていますが、これも回転中心に近い位置にあるので、ここで操縦するのは難しそう(一応翼端にタブついてますから、動きはするんでしょうが)。

で、なんでベクタードスラストにこだわっているのかというと、この技術が一般的だと「寸ずまりでかわいい航空機」になるんですね。デザインの意図を読み取ったうえでディティールに戻ると感心することしきりです。

ほら話としての楽しみ方もできますが、ディティールの必然性を見るとまた別の楽しみ方もできる素敵作品です。

ああ、続きが楽しみです。