Florian's most newest Diary

ふろりあんの再最新日記

ヴェトナムのクォンの飛び級の話

元々「中学になったらホァンの家から通う」という約束をしていた二人ですが、中学をすっ飛ばしてハノイ工科大学に通うことになったのかという話をちょっと。

 

事の発端はMIT(マサチューセッツ工科大学)でした。MITxという遠隔授業システムを学生以外にも公開しているMITですが、ある日あらゆる授業を凄い勢いで履修している学外生に気づきました。調べてみるとGMailのメールアドレスで国外から来ていることが判ります。はじめは「どこかのアジア・アフリカ系の業者だろう」と静観していましたが、そのうちその学外生が講義のディスカッションに参加するに至って、その学外生の人格をやっと把握し始めました。

「どこから来てるの?」

「ヴェトナム」

「今何歳?」

「11」

MITのスタッフは色めきだちました。優秀な学生が欲しいのはどこの大学も同じですし、MITx経由でモンゴルの学生に奨学金を与えて生のMITに通わせたこともあります。

奨学金あげるからうちに通わない?」

「いい。いらない。ただ、単位をハノイ工科大学に充当して欲しい」

MITxは自前では単位を認定しないシステムだったのですが外交的なルートを辿ってクォンをハノイ工科大学の学生にして単位を充当させました。途中で「中学と高校はどうする?」という話になりましたが、入学試験と卒業試験を一度に受けるという荒技でルールをねじ曲げ晴れて9月からハノイ工科大学の一員になり、カーネルハッカーが集まる研究室に配属されました。

「本当にMITじゃなくて良いの?」

「いい。約束したから」

約束がホァンとの一件だと言うことは「ハノイハッカー」の読者の皆さんにはおわかりですね。

 

当のクォンはといえば、放課後(というのは午後まるまるを指します。クォンのいる分校は午前クラスと午後クラスに分かれてましたから)の暇つぶしにMITxを見ていただけなので事の重大さが判っていませんでした。英語はLinuxカーネルMLで覚えて、ヒヤリングはMITxをやりながら鍛えていったくらいですので時間がいろんな物を解決していったのが判ります。

ヴェトナムの農家の小学生は時間だけは掃いて捨てるほどありますから。家の手伝いをしなければ。