潮騒の祈り の感想
まだ見てない人のために。
これでも一応二人の子持ち(離婚しちゃってるので久しく会って無いけど)なので、話としては非常に心に落ちてくるものでした。
3人のヒロインのうち親(和江)と娘(綾子)にだけ名前があってはるかぜちゃんの役には名前がない(一応「海」とあるけど、これ人名じゃない)。確かにはじめの頃からずっとはるかぜちゃんは「ざざーん」とか「ざっぱーん」とかしか言ってない。
しばらく見ているうちにやっと意味がわかってきました。これ「二つの液体(Blood and Tide)」なんだ。「男性にはひとつしかない。女性には同時にふたつある。」という。
「海」は「命」の象徴であり、綾子のお腹の中の子であり、かつて分化する前に一つだった物そのものであり、女性なら皆持っている子宮の中の羊水のことでありといろんなミーニングがなされているけど、あえて名付けるなら「海」。
親の和江はいるだけで癒される包容力の演技が必要だし、子の綾子はそういう運命を選んだという意思の力の演技が必要だけど、「海」というひどく抽象的な所に、芸歴がすごく長くてファンがたくさんいるのに「色」の付いていないはるかぜちゃんをキャスティングした演出の高橋さんはかなりのチャレンジャーだと思います。
また、この「海」の役が絶妙に上手いんだ。しゃべる台詞はちょっとなのに非常に印象的で。まだ人間になっていない魂が喋るとこうなるだろうというぎりぎりのラインで最後まで舞台を引っ張っていきます。
何せ物語が終わった時間軸でまだ生まれてもいないので下手に子供の演技をするのもおかしな事になるし、大人びたしゃべり方が合うかというとそんなことはないし。海辺で満月を見上げるびしょ濡れの三人というラストシーンがひどく絵になります。身振り手振りすらしてないのに(うち二人は手に大きな台本を持っているので物理的に体を動かせない)。
非常に良い舞台を見せてもらいました。
今日は夜に見上げると今年最後の満月が関東地方では曇り無く見られます。
あの月を見ながら、海辺の三人を想像する。そんな夜でした。
パンフレットでは子の綾子と「海」の髪型が意図的に似せられているようでしたが(親子を示す記号だったのかな?)、舞台では髪型は結構変えられていて「海」が直接子であるような描写は少し減ってました。舞台の方が髪型は良かったと思います。
あと、見た人の指摘を受けるまで全然気づきませんでしたが「海」が裸足だったというのも印象的ですね。「靴」は人工物の象徴でもあるので。抽象的な存在である感じがさらに強くなります。ちなみにパンフレットでは全員裸足です。
アンケートにかけなかった(出ていたボールペンが一本残らず書けなかった(;_;))ので、以下、アンケートの項目を。
- 今回の公演は何でお知りになりましたか。
はるかぜちゃんのツィッターでした。
- 今回ご来場頂いたきっかけをおしえてください。
朗読劇の情報を仕入れたのがひどく久しぶりだったので興味を持って。
(多分、アニメーションの専門学校の声優科の文化祭の公演が最後だと思います)
- 朗読劇を年に観る(聴く)本数をおしえてください。
今年は今回が初めてです。
- このスタイルの朗読劇のワークショップがあった場合、参加したいと思いますか?
やってみたいです。
あ、それと。
明日(12/07)の公演はまだチケットが取れるそうですが(是非生で見るのをおすすめします)、今回の公演は主催が文化放送なので文化放送(ラジオ)で公演の内容を放送するそうです。
- 2015/1/1 14:00-
今ならrajikoがあるのでパソコンで聴けますね。お正月から幻想的な舞台に浸れます。