カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生/渋谷直角
カフェでよくかかっているJーPOPのボサノヴァカバーを歌う女の一生
- 作者: 渋谷直角
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2013/10/12
- メディア: Kindle版
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「誰も俺のことをわかってくれない」
というkenちゃんの叫びに代表されるルサンチマンに満ちた漫画でした。女性誌のカーミィのインタビュー(全部読んだよ)や栗田さんのダウンタウン論や(全部読んだよ)や宮沢賢治の春と修羅(第2集)(全部読んだよ。昔にも読んでたけど)などなどひっかかる部分はあるけど結局はここに帰結する。
だからこそのエヴァンゲリオンなんだろうけど。旧エヴァは自分を認めて欲しい欲求に充ち満ちた作品だったから。庵野秀明があれだけの才能を持ちながら認めて欲しい欲求に満ちた作品を作ったのを引用するのも「誰も俺のことをわかってくれない」というサブカルにありがちな記号として消費するためのものだろうし。
でも、ある意味共感します。私自身はサブカルに思い入れがないけど(ゲームはサブカルかなぁ。少なくともメインストリームじゃないよね)「誰も俺のことをわかってくれない」という部分は確かに昔感じたことがあるから。
自分の才能を信じながら誰にも伝わらないルサンチマンは評価してくれる人がいない環境だとクリエイターは腐ります。作品を発表しないと満たされない、発表しても満たされないと、ルサンチマンはたまりますやね。ルサンチマンはやがて脅迫にもなり自分を傷つけます。
ここから逃げる方法はないんですよね、クリエイターを目指しちゃってる以上。
作者は「人生いろいろ」とまとめてましたが、いろいろと言うほど方向性が広がっている作品群ではありません。どの作品も向かう先は同じ。行き止まりも同じ。
だからこその愛すべき作品なのかもしれません。
(蛇足)
カーミィはあれだけ自己愛が激しいのに堕胎しなかったんだなぁ。するだけのお金がなかったのかもしれないけど。