環境音
滅多に家にいなかったパパだけど、たまに家にいる時に書斎から鳥の声や河のせせらぎが聞こえてきたのはびっくりした。
パパの部屋は「書斎」というのがこれを指すんだと言うことが判るぐらい本に溢れていて、その一角にパパの机が備え付けられていた。オーディオセットはパパお気に入りのものだったらしく家にいる時にはずっとオーディオから音が流れていた。
ワーグナーのオペラやベートーベンのシンフォニーに混じって、たまに鳥の声や河のせせらぎや海の波の音が聞こえてくる。変な感じだった。
あれが「環境音」というジャンルのCDだと知ったのはずいぶん後だったけど、パパが何を思ってあんなのを聞いていたのかは結局知らずじまいだった。